地域包括ケアとケアクリエイター
医療や介護福祉業界ではよく話題に上がる「地域包括ケア」という言葉。
厚生労働省からの通達で各市町村は、現在この「地域包括ケア」なるものの「仕組みづくり」に躍起になっている。
それがいわゆる「地域包括ケアシステム」と言われるものだ。
様々な所でシンポジウムや講演会などが開催され、周知を図ろうとしているものの、よくよく話を聞いてみると、
「結局、なんだかわからない」
なんてことが少なくないようだ。
誤解を招くかもしれないが、あえて簡潔に一言で言うなら、地域包括ケアとは「地域まるごと病院化(福祉施設化)」って事。
そのポイントは以下の二つ
- 医療・介護連携システムの構築(同職種連携・多職種連携)
- 地域包括ケアに対する住民の理解
地域まるごと病院化ってのは、
病院数や病院のベッド数に限りがあり、ベッドで寝ていて(もしくはお部屋にいて)、お部屋に1日数回の看護師と1週間に1回程度の診察に来るだけの環境なら、わざわざ病院にいなくても自宅のベッドでいいでしょってお話で、
病院のナースステーションから、主治医や看護師が病室に行くスタイルを、そのまま拡大させて病室ではなく自宅へ伺うようにするといったイメージ。
「なんだ、そんな簡単なことか」と侮るなかれ。
そもそも、狭い病院内でも患者本人の情報共有をする為に、何度もミーティングや申し送りがあったり、医師・看護師・その他専門職・事務員などのやり取りを頻繁に行わなければならない中で、それをそのまま広げると収拾がつかない。
大きい病院や最先端のICTを使用した病院等は、情報共有のために先端の情報共ツールを使用しているものの、あくまで「狭い病院内だからできる」事が少なくない。
こういったことを踏まえ、地域のそれぞれの特徴を掴んだうえでのシステム作りが進められようとしているが、今の話はあくまで「医療・介護職」側から見た視点。
実際、病院で入院をした患者さん本人の生活には、医療・介護職の専門職にかかわる時間なんて1日数時間程度。
それ以外は一人でいるか、ほかの患者や家族いる時間のほうが圧倒的に長い。
患者目線から言えば、医療・介護専門職の連携なんて事より、自分の生活に直接かかわりそうな家族(住まい)や地域の受け入れが重要になってくる。
病院内なら、ある程度みんなが気を使ってくれる。
しかし、病院から出ればそんな気を使ってくれる人は少ない。
気分が悪くなっても誰も声をかけてくれないかもしれない。
そんな不安がよぎる。
町全体が病院化(施設化)する事を、家族・住民が理解していなければ、この地域包括ケアは成り立たない。
家族や住民に理解促進を行うだけでなくサポートする事も重要となってくる。
システムなんて言葉を使うと誰かが作ってくれるみたいに思われるけれど、結局システムは「仕組み」であり、「地域包括ケアシステム」で大切なのは「繋がり」だということ。
そういったつながりを改めて専門職や住民に体感し・可視化する事で、国や市町村からの政策提示によるトップダウンだけではなく、住民からのボトムアップを促し、全体を俯瞰しながら理解することができる。
今求められているのは、「仕組みを創る」為に動ける人材が求められている。
新しいケアは地域から生まれる。
ケアクリエイターは、地域包括ケアと共に、そういった社会を創造できるよう、活動をおこなっていく。
ではでは。