クリエイティブケア研究会とC-school事業について

介護の仕事をクリエイティブなものと捉えていると、働き方にも変化が見られるようになります。

 

思考が行動を変えていくんですね。

 

そういった体験をして頂きたいと考え、現在、理解ある方々とクリエイティブケア研究会なるものを主宰させて頂いており、2013年から数年間、医療・介護に携わる、またはその周辺産業の方々にご参加頂きながら「クリエイティブなケア」についてのセミナーや講座を開催させて頂いております。

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その中で、言語化できる領域や論理化できる領域をお伝え・共有する事は簡単であり、アンケート上での成果も見えやすいのですが、運営をしていくうえで、やはり我々が求めたいところ、課題としては

 

「言語や論理では記述できない領域をいかに見つけ出し、共有し新しいものを産み出していくか」と言うポイントをいかに共有し伝えていくことが出来るかと言った所にありました。

 

そこで、2017年は今までの流れを汲みつつ、「クリエイティブ」を産み出す手法として注目されている「デザイン思考」のプロセスを踏襲した事業を進めていく事となったのです。

 

その名も「C-school」

 

「デザイン思考」が注目を集め出したのは2004年ごろといわれ、2005年にスタンフォード大学にd.school(デザインスクール)が創設された事が契機とされています。

 

C-schoolの「C」は「ケア」や「クリエイト」の意味が込められています。

 

デザイン思考には「Empathy(共感)」「Define(問題定義)」「Ideate(アイデア)」「Prototype(プロトタイプ)」「Test(テスト)」という五つのステップから成り、これをこなしていくことで「デザイン=問題解決」を効率的に生み出していくといったツールです。

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詳しい事はそれぞれGoogle先生にでも聞いてもらった方が分かりやすいと思いますが、あえて簡単な説明をするのであれば、

  1. 観察から洞察を得て
  2. 仮説を作り
  3. プロトタイプを作って
  4. それを検証し
  5. 試行錯誤を繰り返して改善を重ねながらモノ(製品・サービス)を創り出す

創造的なプロセスです。

 

もっと簡単にすると、

  1. ユーザーニーズを捉える
  2. 多くのアイデアを出す
  3. イデアを絞り込む(自分なりのフレームワークを用いて判断する)
  4. 検証と試行錯誤を繰り返す(行動力・実行力)

といった感じになります。

 

その際、“人”“現場”に注目し、観察を通じて、人々の行動や思考、文脈をありのままに理解することからスタートするところが特徴です。

 

C-schoolでは実際にデザイン思考を応用した形でのイベントを開催しておりますが、実は参加者にはそれが「デザイン思考」を応用したものとは全く伝えておりません。

 

よく「会の趣旨を理解して参加してもらった方がいいのではないか」と言われることもありますが、

 

言語化・論理化して伝えて小難しくすることによって、参加に対するハードルが上がったように感じたり、それによって門戸が狭まり

 

「本当に伝えたい人達」に「本当に伝えたい事」が伝わらない事の方が問題だと考えたからです。

 

現在「C-school」として開催させて頂いた、

「未来をつくるkaigoカフェ」(メイン講師:高瀬比左子氏、細川寛将氏)

クリエイティブケア研究会 - 写真 | Facebook

 

「若年性認知症当事者からみた ひと・まち・くらし」(メイン講師:山田真由美氏、鬼頭史樹氏)

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は、C-schoolにおける「デザイン思考ツール」のプロセスを活用して開催されております。

 

今までとは何が違うかと問われれば、「話を聴く(講義形式)だけでは終わらない」「目的もバラバラで互いの事を話だけではない」所です。

 

話を聴く対象(講師)に対して「観察をし、洞察を得て」から「自分なりの仮定、仮説」を考え、「他の参加者とアイデアを出し合う(プロトタイプ)」といった一連の目的を持った対話を通じて、それぞれの「アウトカム(検証・試行錯誤)」へ繋ぐ仕掛けを行っております。

 

やはり、体験を通じて「言語や論理化できない領域」を共有して頂く事で、それぞれの学びや気づきも高まりアンケート等にもそう言った書き込みがある事を嬉しく思います。

 

対話を通じて自身の考えや他者との考え方の「違い」を知る事で客観的に自身を知る事にも繋がり、自分自身の仕事の捉え方や考え方も変わります。

 

上記のような説明を会の開催前にお伝えすれば理解も早まるのでしょうが、そういった事は望んでおりません。

 

会に足を運んで頂き、「言語や論理では記述できない領域をいかに見つけ出し、共有し新しいものを産み出していくか」という体験をして頂く事で、参加頂いた方がよりクリエイティビティに満ちた活躍をしてくださればと思っております。

 

まあ、「非言語」で「無自覚」に伝えていくには難しさもありますが、それもまたこちらのクリエイティビティが求められるところと思います。

 

そして、C-schoolではその後のアフターフォローも念頭に置き活動を行っております。

 

現在開催した第2回までは、デザイン思考で言う所の「プロトタイプ(仮説検証実施)」「テスト(試行錯誤)」が行われておりません。

 

そう、未完成なんです。

 

それらの実施期間が今年の12月までと参加頂いた皆様にはお伝えしており、来年度にはそのテストの結果をそれぞれにご発表頂く機会をと考えております。

 

実際、先日ご参加頂いた他県の方のアフターフォローの為、その方の職場まで担当が足を運ばせて頂いております。

 

クリエイティブケア研究会では、今後も、新しい何かを創造するために、専門性の違う者が集まりながらも、それぞれの役割を不明確にしたまま境界を持たずに、一緒に手を動かす機会を創っていきたいと考えております。

 

その為には、クリエイティブケア研究会が境界を意識しない体制をつくる必要があります。

 

自分の仕事の範囲を明確化するような働き方は、むしろ境界をつくってしまうことになり、相互理解が図りづらくなる壁を作ってしまう事になりまねません。

 

「医療」や「介護」を通して「新しい何か」の発見をして、それを共有することで、集団による創造力を上げる。

 

そういった経験をそれぞれの職場や地域・組織に持ち帰って頂きたいと思います。

 

どんなものが産まれ、どんな形となっていくのかとても楽しみです。

 

ではでは。