私が介護の仕事を「クリエイティブだ」と言っている訳

介護はクリエイティブなお仕事だと思っているわけですが、

 

「なんで?」と言われれば、「文化依存度の高い領域のお仕事だから」と考えております。そう、まさしく「アート」なお仕事ともいえます。

 

ネット環境の整備やICTソリューション開発などで、情報共有のスピードが激しくなっているのは、もはや周知の事実。

 

それはつまり、「言語化できる領域、論理化できる領域は共有スピードが激しいので、競争の差異を産まなくなってきている。」ってことなんです。

 

知識として語れたり、情報共有できる範疇の事なんて、Google先生に聞けば大抵のことは答えが出てきますし、専門的なことは書籍・図書館・セミナー・大学教授なんかに聞けば答えが出てくる時代なんですね。

 

競争の差異が無くなるということは、「価値」を産みにくくなっているとも言えます。

 

では「競争の差異はどこで産み出していけばよいのでしょうか?」って事で最近特に注目されているのが、

 

「カッコイイ」「可愛い」「きもちい」「おもしろい」と言った、「言語や論理では記述できない領域」なんです。この領域は「文化依存度の高い領域」と言われています。

 

簡単にわかりやすい言葉で表現すると「アート」であったり「デザイン」といった言葉で表現できるかと思います。

 

この領域は非常に個人的で地域性に左右される為、共有しにくい部分とされています。

共有しにくいからこそ「競争における源泉(差異)」ともなりうるんですね。

 

かの有名なUNIQLOも、数年前の年始テーマに「Global is local,local is Global」を掲げていました。これは、フランチャイズとして一律同じサービスを全世界で展開していくといった従来のやり方ではなく、各地域・店舗毎にその地域・店独自の特色を盛り込んで行く事で、その地域毎に支持される店舗展開を行っていこうというものでした。

 

まさに、グローバル企業化へ向けた戦略として、「共有しにくい部分」とされる個人的性・地域性を重要視し、「世界的企業となる為に、その地域毎に目を向けていくやり方」へ注力したのです。

 

介護の仕事は、様々な障害を持った方々の生活支援がメインのお仕事。

 

よく勘違いされるのが、「生活支援」を行うためにはその方を知らないと支援なんてできないんですよね。「介護技術」っていうテンプレートで一律化されていてそれを提供するお仕事ではないんです。

 

その為に、被支援者(患者・お客・利用者など)の生きてきた歴史や考え方、背景なんかを知ろうとするわけです。

 

「なんでそれが好きなの?」

「なんでそれが嫌いなの?」

「なんでそんなことするの?」

「なんでそんなことやりたいの?」…etc

 

一律に同じ支援が通用しないのが介護のお仕事。このポイントを抑えることで、個々の被対象者における「文化依存度の高い領域」を掴む事が可能となってきます。

 

人は常に同じ時間を過ごすわけではなく、障害を持ってしまうと生活スタイルが変わってしまうことも多々あります。

 

そんな時に必要になってくるのが「文化依存度の高い領域」を紐解き、被対象者が世界をどう捉えているのか、どう認識しているかを支援者が共有することなんです。

 

人の行動や想い、感情で行動が連動していき「生活」を形作ります。

生活が連続していくことでその「人生」が形作られていきます。

人生をデザインするその人の「世界の捉え方や認識」がまさしく文化そのもの。

 

「クリエイティブ」はそういった文化を産んできた源泉であり、長い歴史の中で「非言語に」「無自覚に」連続しながら新たなものを産んできた行為をさすものです。

 

人の生活を支援し、生活が人生となり、それぞれの人生が交わり文化となる過程にかかわれる仕事として介護の仕事は多岐にわたります。

 

文化を生み続けていく事が文化を連続させていく事に繋がり、この活動がクリエイティビティを産み出すのであれば、その原点を支える介護はまさしくクリエイティブな仕事だといえます。

重要なのは、働く私たちも「世界の捉え方」「世界の認識」を持つ必要があるということ。

 

これがなければどんなお仕事をしていてもつまらんですからね。

クリエイティブな介護の仕事は価値を生み出しやすい仕事かもしれません。なので、一度、介護の仕事を経験しておくことがスタンダードになっても面白いかなとも思います。

 

ここまで書いていることは既に言語化された時点で「あまり人には伝わんねんえな」と思っております。

 

やっぱり「非言語で」「論理的には記述できない」事ってのは、自分が体験しなければわかりません。

 

最近の社会情勢として核家族が当たり前になっており、そもそも高齢者や障害者と関わる事も少なくなっています。

 

そう、体験がないのでそもそも「仕事」としての範疇に入ってきません。

 

シニアとの関わりやクリエイティブな体験を通じて「介護福祉」の魅力を肌感覚で学んでいただこうといった取り組みがシニアファッションショーの「モデル講座」だったりするわけです。

cucuru.media

 

若い人たちはもちろん、もっと多くの方に関わってもらいたい、介護の魅力を伝えていくことでクリエイティブが波及し、新しい文化につながっていけばよいかなと思います。

 

ではでは。